高村薫さん・五條瑛さん・福井晴敏さん・古処誠二さん等の小説、海外の海洋小説、歴史、B'z、を糧に生きている人間の日常。
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本★竹田茂夫『竹田茂夫『ゲーム理論を読み解く-戦略的理性の批判』
2005年06月19日 (日) | 編集 |
本★竹田茂夫『竹田茂夫『ゲーム理論を読み解く-戦略的理性の批判』(ちくま新書)2004.11.10

ゲーム理論で必ず引き合いに出される、有名な話があります。
囚人の罠(囚人のジレンマ)」です。
警察が共犯と思われる窃盗犯を2人捕まえたので、
2人を隔離して取り調べることにしました。
警官は、司法取引を持ち掛けます。
「お前の相棒は黙秘している。もしお前が自白すれば、無罪放免にしてやる。
 逆に、お前が黙秘して相棒が自白すれば、お前の罪はもっと重くなるぞ」

ゲーム理論では、囚人はそれぞれ相棒が裏切るのではないかという
疑心暗鬼に陥って、自己防衛のために自白すると説明されます。

・・・ああそうか、すごいな、と納得してしまいそうなんですが、
囚人の罠では、「あいつは絶対に俺を裏切らない」という信頼関係や、
「あいつが裏切っても俺は裏切らない」という意地のようなものを、考慮しません。
たとえば 李歐と一彰みたいなのは、存在しない わけです。
(まぁアレは小説ですが(笑)高村薫『李歐』もしくは『我が手に拳銃を』)。
でも現実に、組織がバックについていたりする場合の窃盗罪なら、
相棒を含む組織を裏切るよりは、黙秘を通して刑務所に入るんじゃないでしょうか。


大岡越前の裁きモノの1つに、子どもを取り合う母親の話がありますよね。
越前が、子どもを引っ張って奪い合うように言い、綱引きが始まります。
痛がった子どもを見て手を放した女性が、本当の母親だ!という、
大岡サマすごいです!あったまいーい!という内容でした。

ほとんど同じような話が、旧約聖書の中にもあります。
この場合、機知を働かせて名裁きを発揮するのは、ソロモン王。
母親2人が、この子は自分の子だと言い張るので、王は剣を持って来させました。
「その子を剣で2つに裂いて、半分を1人に、残りの半分をもう1人に与えよ」と告げます。
すると、本当の母親は子どもを哀れに思い、自分のものにならなくていいから、
子どもを生かしたまま、もう1人の偽母にあげてください、と言うのです。

ゲーム理論家のジョン・ムーアは、このソロモン王のトリックでは
本当の母親を決められはしないと言います。
これは、当然、そうですよね。
偽母が演技で泣き、慈悲を乞う場合もあるし、
実母が自棄になって、相手の手に渡るよりはと殺害を主張するという場合も
考えられるからです。それは分かる。

そこで、ジョン・ムーアは、1つのゲームを提示します。
どちらかの女性(仮にAとする)に、本当の母親かどうかを尋ねて答えさせ、
Aが否定すれば、子どもはBのものになり、ゲーム終了。
Aが肯定すれば、ゲームは第2ラウンドに移ります。
第2ラウンドでは、BがAに同意すれば、子どもはAの手に渡りゲーム終了。
逆にBがAに反論して、子どもは自分のものだと言い張るなら、
Bに指値(買取価格)を決めさせ、子どもをソロモン王から買い取らせるのです。
同時に、Aには罰金を科す。
さて、第3ラウンドでは、AがBの指値に対抗しない場合には、
子どもはBのものになりゲーム終了。対抗する場合には、競りになります。

これ、びっくりしませんか。
実母が必ず偽母より高い値をつける、ということが前提となっているんですよ。
偽の母親を名乗り出てくるのは、金が欲しいからだ、ということなんですね。
ふーん・・・・・・・子どもが欲しいとか、単に意地を張ったとか、
そういう情動的な部分はスパッと切られているんです。


核戦争に対する解釈も、「全面核戦争などという地球の存亡にかかわるようなことは、
相手も望んでいないはずだから、まずは攻撃の最初の段階をしのげる武力を持とう」
ということになるわけ(だそうです)。
ほとんどの場合は、そうかも知れません。
そういう合理的な判断が出来る相手なら。
でもほら、世界のニュースを見渡してみると、
ちょ~っと一筋縄ではいかない国も、人も、いそうですよ!

脅しで一番有効なのは「狂気」なのだそうです。
ゲーム理論を元にして取引が出来るのは、
何が自分にとって得かを考えられる相手だけ。
しかも、価値観も似ていないとダメ
もし相手が、損得勘定なしに感情優先で行動したり、
次に打つ手が予想もつかないような場合、
交渉に臨む場合には慎重にならざるを得ません。主導権を握られてしまう。


著者は、旧ユーゴスラビアの内戦を例に出し、
ゲーム理論では解釈できない、現実の暴力の在り方について指摘しています。
戦争(暴力)は、合理的な判断から始まるものでも、終わるものでもなく、
憎悪、復讐、そういった感情を抜きにしては語れないものですよね。
被害者意識によって、共生の記憶が抑圧され、対立と闘争の事実だけ強調される
という著者の言葉が、胸に染みました。

ゲーム理論は、
「こうすればこうなって、ああすればああなる、これなら、自分の利益は最大化できる」
と、考えられる人間たちの間で、利害が一致しない場合の問題解決には、
効果的だと思います。頭の体操に最適だ(笑)
ただ、広範囲に適用するのは、どうか、というところじゃないでしょうか。
ゲーム理論の持つ脆弱性は、合理性を過信し過ぎるところでしょう。
人間はそんなに合理的に動けるものではないですよね。
そんな合理的な人間なら、誰も見ないような、こんな長い文章を書いてないもんな(爆)
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