高村薫さん・五條瑛さん・福井晴敏さん・古処誠二さん等の小説、海外の海洋小説、歴史、B'z、を糧に生きている人間の日常。
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本★五條瑛『エデン』
2006年10月21日 (土) | 編集 |
本★五條瑛『エデン』(文藝春秋)2006.8.10

今までの五條作品と、テイストは同じだけれど構成は異質。
主人公は、スラムで生まれストリートで育った亞宮柾人という青年。
ギャング同士の抗争で捕まって「K七号施設」(刑務所)に入る。
ただしこの施設は、政治・思想犯専用の、特別矯正施設。
亞宮にとっては全く理解できないインテリばかりが生活する空間で、
他の大多数の収容者とは違う信条を持って、強く逞しく生きていく姿が際だっている。

思想犯特有の、眉間にシワを寄せ肩肘張って、頭の中で考えただけで
融通のきかない自分の主張を声高に叫ぶ連中よりは、
瞬時に状況判断できる亞宮の頭の良さや、仲間との絆の強さは魅力的です。

亞宮は、かっこいい。収容者仲間の工藤に
「きっとお前は、自分の居場所が見つからなくて不安になるなんてことは、
 ないんだろうな」(362頁)と言われてしまうくらい、強い。

亞宮の言葉↓
「俺たちストリートの人間は、基本的にはいつだって一人だ。
 甘っちょろい政治犯みたいに、生きるのも死ぬのも一緒なんて考えはないんだよ」

矯正施設側の佐々木ドクターは
「確かに、彼らには甘いところがずいぶんあるな。それは僕らもだ。
 もともと思想というのは、弱き自分を認識するところから始まったものだと思う。
 弱いからこそ、何かにすがることで強さを得ようと思うんだろう。
 だがね、亜宮君」「人間というものは、たいていそうなんだ。
 ときには弱くて甘いのが一般的で、珍しいことじゃない。政治でも宗教でもいい。
 何かに負けてしまいそうな人間が精神的な支えを欲するのは、本能みたいなものだ」
                        (358頁)


その施設では、刑務所とは思えないほど収容者が優遇されていますが、
人々の不安や不満は渦を巻き、飽和状態になっていきます。
そろそろ臨界点に達する頃かと見た北所長が、亞宮を入所させたんでしょうか。

そこで数年前の日比谷暴動(これは史実の日比谷焼き打ち事件とは別)が
絡んできます。宇賀神という暴動の中心人物に対して、亞宮も興味を持つ。

風船の中に空気を吹き込んでいき、飽和状態になり、パーン!とはじける、
何か暴動が起こる時の感覚とはそういうものでしょうか。
人がいて、気という熱が上昇し、爆発を起こし、誰か誘導する者がいれば
一定の方向へ目的を持って向かう。
うまくいけば、革命。
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