高村薫さん・五條瑛さん・福井晴敏さん・古処誠二さん等の小説、海外の海洋小説、歴史、B'z、を糧に生きている人間の日常。
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本★五條瑛『赤い羊は肉を喰う』
2007年03月27日 (火) | 編集 |
本★五條瑛『赤い羊は肉を喰う』(幻冬舎)2007年1月25日

奇抜な印象を与えるタイトルが意味していることは、
小説の最後に明かされます。
羊は何か、それが赤いとはどういうことか、そうして、
草食動物であるはずの羊が、肉を喰うとは・・・
最初は謎だらけで、拡散していた登場人物が、少しずつ繋がり、
大団円を迎えます。それにしても、毎回こんな主役(葉山とか)で、
よくクライマックスまで持っていけるなぁと思うんですよ。
仕事や人間関係がイヤになって、放ったらかして、そこら辺の飲食店で
ぼーっとしてそうな性格の主役で。

この小説の主役は、「内田調査」という会社に勤める内田偲という三十路男性。
彼の職業は計数屋、店舗を出店する時やマンションを建てる時に、
最寄駅の利用者は男女どの世代が多いか、通行人の顔ぶれはどうかといった調査や、
選挙前の各候補の当選確率などを調べる会社です。
が、計数屋の仕事はそこまで。調べたデータを提出するだけ。
通行人に独身の20~30代女性が多い、というところまで。
だからアパレル会社を誘致すればいいとか、女性向きのカフェを経営すればいいとか
そういうことはコンサルタントがすることであって、計数屋の仕事ではないし、
さらに、特定の場所に集まった大衆の意識を操作して、流行を作り出すのはまだしも、
犯罪を誘発させるなどは、もってのほか。
それは神の所業ですが、それゆえに大衆の操作に魅かれた人々がいた、というお話です。

ちょうど直前に読んでいた本『データの罠』に絡む内容で、理解しやすく面白かったです。
わたしも、「世論」を操作させるのは嫌いだけど、操作するならこうすればいい、という
方法は思いつく。それを実行に移して成功したら、自分の仮説が正しかったという証明になる。
ただ、爆弾を作る方法を知っているからと言って爆弾を作るのかと言えば、
普通は作らないですよね。犯罪というのは、そういうものですよね。

エスターの言葉で印象的だったのは、

「人間というものは善意は己の意志によるものとし、悪意は神のせいにする。
 それが大衆なんだ。戦争に行き人を殺した人間は、それが自分の本質であったとは
 絶対に認めないだろう。時代や為政者に責任をなすりつけ、自分に責任があったとは
 口が裂けても言わない」(360ページ)
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